映画「来る」を観てきました!
原作小説がめちゃくちゃ怖いホラーだったので、かなりビビっていたのですが……
「あれ、意外と怖くない?」
「嫌われ松子の一生」を彷彿とさせる中島監督の演出のおかげで想像よりはるかに恐怖度は低めでした。
どちらかといえばホラー映画というよりエンタメ映画とジャンル分けされそう。
私のようにホラーが苦手な人でも、心配なく楽しめる内容でした。
※といっても、体がちぎれたり、血を吐いたりするシーンはありますが……
今回はそんな映画「来る」の感想や、映画「来る」では語られなかった原作小説の設定や結末などについてまとめていきたいと思います。
Contents
映画「来る」の感想
映画「来る」の感想を三行でまとめると、こうなります。
「思ってたのと違う」
「でも、これはこれで面白い」
「え、そこで終わるの!?」
順番に説明していきましょう。
思ってたのと違う
細かい設定などは省略されていたものの、ストーリーは基本的に原作小説「ぼぎわんが、来る」をなぞっている印象でした。
特に序盤から中盤にかけての流れはほぼ原作そのままで、そのため中盤までは「怖っ!!」と思うシーンもチラホラ見受けられました。
※特に田原夫妻がぼぎわんの犠牲になるシーンは怖かった!
そんな流れが大きく変化するのは、琴子が登場してから。
中盤までが「演出が派手な和製ホラー」だったとすれば、終盤の作風は「伝奇ホラー活劇」というか「霊能力者 vs 怪異のバトルもの」というか……。
とにかく途中からは毛色がガラリと変わって、明らかに「ホラー」から「エンタメ」へと切り替わっていました。
でも、これはこれでおもしろい
だからといって、私が「こんなの『ぼぎわんが、来る』じゃない!」とガッカリしたかといえば、実はそうでもありません。
むしろ原作小説を「ホラー」としてガッツリ映像化されていたらトラウマ級の怖さだったでしょうから、『怖さ控えめ、エンタメ多め』で映像化してくれて助かったとすら思いました(笑)
映画「来る」はホラーにつきものの「観終わった後の日常生活が怖い!」という『おまけ』がないので、頭を空っぽにして楽しめます。
なんといっても中島監督らしい演出が見どころですから、「嫌われ松子の一生」「告白」「渇き」などが好きだった方は「でも、ホラーだし……」と敬遠せずぜひ見てみてください。
え、そこで終わるの!?
そうして迎えたラスト。
正直に言って、私が映画「来る」で一番驚いたのは、その結末でした。
「え、そこで終わるの!?」
あまりにも……あまりにも何も説明しないまま、何がどうなったのかわからないままの最後!
私はまだ原作小説を読んでいたからいいようなものの、初見でこの結末を見せられては消化不良もいいところではないかと思います。
ざっと思いつくだけでも……
・ぼぎわんはどうなったの?琴子との対決は?
・知紗は助かったの?このあとどうなるの?
・そもそも、ぼぎわんって何だったの?
疑問点だらけです。
設定的な部分は原作に任せるにしても、せめて「ぼぎわん vs 琴子」の決着くらいは見たかった……。
というわけで、ここからは映画「来る」の謎・疑問点について、明らかにしていきたいと思います!
原作小説「ぼぎわんが、来る」の設定や結末は?
映画を観た後、原作小説のあらすじを詳しくまとめたこの記事を読み返してみました。
すると、どんどん見つかるんですね。
- 知りたかった疑問点への答え
- 映画「来る」では語られなかった裏設定
- 原作とは違う映画「来る」オリジナルの設定
1つ1つ全部取り上げるときりがないほどなので、とりあえず目立つ点だけ抜き出してご紹介することにしましょう。
知りたかった疑問点への答え
Q:最後、ぼぎわんはどうなったの?
A:琴子に敗北し、消滅(?)しました。
ラストの戦闘シーン、映画では野崎が知紗とともに部屋から放り出されていましたが、原作小説では展開が違います。
田原家の室内で《ぼぎわんとぼぎわんになりかけている知紗 vs 琴子・野崎》の大混戦。
最後は真琴が知紗に預けていた《銀の指輪》が一瞬の隙を生み出し、琴子が青い炎で《ぼぎわん》を燃やし尽くしました。
ただし、《ぼぎわん》がが完全に消滅したという保証はなく、ラストは知紗が寝言で「ち…が…つり…」という《ぼぎわんの言葉》を口にするシーンで締めくくられています。
……怖っ!
Q:両親を失った知紗はその後どうなるの?
A:原作では母親(香奈)が生きています。
後述しますが《ぼぎわん》の優先目的は田原家の血筋だったため、香奈はその対象ではありません。
新幹線のトイレで《ぼぎわん》は知紗を奪ったものの、香奈にとどめをさしませんでした。
とはいえ、香奈は知紗を奪われた際に精神を破壊され、廃人化。
事実上、人間としては終わったも同然の状態でしたが、《ぼぎわん》との最終決着の後、奇跡的に回復するというラストでした。
映画「来る」では語られなかった裏設定
Q:どうして《ぼぎわん》は執拗に田原家を狙っていたのか?
A:話は秀樹の祖父母の代にさかのぼります。
秀樹は確かに最低な男でしたが、それだけで《ぼぎわん》に狙われていたのでは日本中が大パニックになってしまいます。
では、なぜ秀樹の家庭が執拗に狙われていたのかといえば、それは《田原家の血筋》を引くものだから。
簡単にいえば、秀樹の祖父もまた家庭内で暴力をふるったりする最低男で、妻(秀樹の祖母)からは激しく恨まれていたんですね。
その結果、秀樹の祖母は《魔道符》に手を出して《ぼぎわん》を自ら呼び寄せました。
「田原家に呪いあれ」
その憎悪があったからこそ、《ぼぎわん》は田原家の子を、孫を、そのまた子供をターゲットにしていたのです。
Q:ぼぎわんって何なの?
A:子どもを『お山(あの世)』へと連れていく怪異。その正体は……
前提として《ぼぎわん》は作者がつくりだした架空の怪異です。
実際に《ぼぎわん》という妖怪の伝承があるわけではありません。
作中における《ぼぎわん》は津田がちょっと説明していたように『口減らし』を誤魔化すためにつくりだされた伝承……ではなく、実際に存在していた怪異として描かれています。
古くから人間は『口減らし』のために子どもや老人をぼぎわんに差し出していたという設定でした。
映画でも《ぼぎわん》は「知紗さん」「秀樹さん」とたびたび名前を口にしていましたが、それは《ぼぎわん》が「問いかけにこたえたものをお山(あの世)へ連れていく存在」だから。
そして、もうひとつ。
原作小説において《ぼぎわん》は「人間から子供を奪い、自分の子供にする妖怪」だとされています。
つまり、秀樹たちを襲った《ぼぎわん》はぼぎわん化した元・人間の子供であり、知紗を狙っていたのは自分の子供にするためだったんですね。
小説の最終決戦において、知紗は我を失って野崎に襲いかかるのですが、これは知紗が次のぼぎわんになりかけていたから。
なんともゾッとする話ですよね。
映画「来る」オリジナルの設定
映画「来る」は大筋では「ぼぎわんが、来る」のストーリーをなぞっていますが、個々の設定としては原作小説と違う部分が多々見受けられます。
たとえば「映画での香奈は亡くなったけれど、原作では生きている」というのも、そのひとつですね。
ここでは原作とは異なる映画オリジナルの設定をご紹介したいと思います。
・秀樹が小さいころに遊んでいた少女。消えた《知紗》の存在
映画では非常に印象的なシーンでしたが、これは原作にはない設定です。
このシーンは《ぼぎわん》が秀樹を狙う理由として描かれていたので、原作における秀樹の祖父母のエピソードの代替だったものと思われます。
ちなみに《ぼぎわん》の使途のように描かれている『イモムシ』の描写も小説にはありません。
・野崎が過去に子供を中絶させたエピソード
原作小説において、野崎は真琴と同じ「子どもができない体質」だと説明されています。
というわけで、映画で印象的に描かれていた野崎の過去のエピソードは映画オリジナルのものです。
全体的に映画では(岡田君が演じる)野崎の扱いが大きくなっていたように思いました。
ちなみに映画では明言されませんでしたが、野崎と真琴は恋人同士の関係です。
・ラストの一大決戦
映画「来る」のクライマックスでは、琴子が日本中、そして世界中から集めた霊媒師たちと共同戦線を張り、大掛かりな儀式が執り行われていました。
かなり派手で印象的なシーンでしたが、これも映画オリジナル。
原作小説ではほとんど琴子がひとりで《ぼぎわん》と立ち向かっていました。
ちなみに、映画では最後まで《ぼぎわん》の姿が明確に描かれませんでしたが、小説ではその姿は《巨大な口と歯のバケモノ》と描写されています。
※犠牲者に《噛み傷》があったのはこのため
狭い室内で《巨大な口と歯のバケモノ》が琴子に襲いかかり、妖怪化しかかっている知紗が野崎に襲いかかる……。
緊迫した原作小説のバトルシーンには手に汗を握ったものですが、映画ではそのあたりサクッと終わっていましたね。
迫力あるバケモノ退治シーンに期待していたので、その点についてはちょっと残念でした。
・津田大吾の存在
映画における津田は秀樹をおもちゃにしている性悪男で、香奈を寝取っていましたね。
香奈に《魔道符》を送ったのは、邪魔な知紗を亡き者にしようとしていたから……という感じでした。
一方、原作における津田の立ち位置は唐草という男で、秀樹亡き後、香奈にしつこく迫っては断られている男として描かれていました。
唐草もまた香奈に《魔道符》を送っていたのですが、それは香奈を怖がらせて自分を頼らせるため。
津田も唐草も最低な男ですが、唐草の方が器が小さくて悪役としてはしみったれていますね。
いっそ津田くらい突き抜けて悪いやつの方が見ていて気持ちがいいな、と思いました。
まとめ
個人的な感想としては、小説「ぼぎわんが、来る」と映画「来る」は別物だと思いました。
多くの場合、映像化した方が恐怖度が増すものでしょうが、「来る」の場合は原作小説のほうがはるかに怖いです。
大げさじゃなく、映画より小説のほうが何十倍も怖かったですね。
なので、ホラーとして楽しみたい方には映画「来る」はあまりお勧めしません(ぜひ原作小説読んでみてください。第2弾も出てます)
逆にいえば、映画「来る」はホラーが苦手な方にも「意外と大丈夫だよ!」とお勧めできます。
なんといっても「観終わった後まで怖さが残らない」というのがいいですね。
「怖くてもうひとりじゃトイレに行けない!」とはならないので、その点は安心して観られます。
というわけで映画「来る」の総評は『怖さ控えめ、エンタメ多め』
「嫌われ松子の一生」「告白」「渇き」といった中島監督の作品(演出)が好きな方は一見の価値ありです!(思ったより怖くないので大丈夫!)
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