ホラー

映画『シライサン』ネタバレあらすじ!怖すぎ注意のホラー!

あの乙一さんが監督を務めた映画『シライサン』

ホラー映画なんですが、正直かな~り怖いです!

もし観に行くなら、絶対に誰かと一緒に行ってください!

でないと、めちゃくちゃ怖がりながら帰ることになります。

※いつもの道や自宅でさえ怖くなりました(実体験)

ぱんだ
ぱんだ
またまた、大げさなんだから!

と思ったそこのあなた!

今から映画『シライサン』のあらすじを結末までネタバレするので、どうぞ怖さの度合いをチェックしてみてください!

あらすじネタバレ

奇怪な破裂音が響いた。

湿った肉がはじめるような音と、勢いよく水がぶちまけられるような音。

何が起きたのか、瑞紀にはとっさにわからなかった。

香奈の顔から大量の血が一瞬のうちに噴き出して床に散った。

うつぶせに倒れた彼女の肩をゆすってみる。

反応がない。

みるみるうちに床に血だまりが広がっていく。

大量の血で、息ができなくなるのではないか。

そう思って瑞紀は香奈の姿勢を仰向けにした。

「……え?」

瑞紀は、自分が何を見ているのか理解できなかった。

つい数分前まで楽しくおしゃべりしていた親友の香奈。

美しかった彼女の顔に赤黒い『穴』があった。

血がしたたる赤い肉の洞穴。

そこにあったはずの眼球は見当たらない。

彼女の両目はいったいどこに消えたのだろう?

床に散った無数の細かな肉片が、先ほどまで眼球だったものだと遅れて気づく。

瑞紀は叫び声を聞いた。

自分の口から出ている声だった。

登場人物
  • 山村瑞紀……大学生。人と視線を合わせるのが苦手で、いつも伏し目がち。
  • 鈴木春男……眼球破裂して亡くなった弟の死の真相を探る。
  • 間宮幸太……記者。連続する不審死の真相を追う。
  • 間宮冬美……幸太の妻。脚本家。間宮夫妻は娘の真央を交通事故で亡くしている。
  • 溝呂木玄……故人。学者であり、かつて湊玄温泉のあるF県Y市の風土を調べていた。
  • 石森ミブ……故人。溝呂木にかつて存在した「目隠村」のことを語った。

湊玄温泉の怪談

解剖の結果、香奈の死因は『心不全』だと診断された。

眼球が破裂したくらいでは、人間の生命活動は止まらない。

眼球破裂は何らかの要因で圧力がかかった結果であり、直接の死因ではないということだった。

(……心不全? あれが?)

瑞紀はとうてい納得できなかった。

やがて瑞紀は同じように弟を亡くした鈴木春男と出会う。

瑞紀の親友だった加藤香奈。

春男の弟だった鈴木和人。

2人は同じ書店で働くバイト仲間であり、もうひとり『富田詠子』という人物を加えた3人でよく遊んでいたという。

瑞紀たちは事件を探る手がかりとして、詠子から話を聞くことにした。

詠子は最初、言おうかどうか迷っている様子だった。

心当たりがあるけど、自分でもとても信じられない。

そんなためらいが青白い顔に浮かんでいた。

「教えてください、富田さん」

瑞紀が言うと、富田詠子は逡巡しながら、少しずつ話し始めた。

「私たち、この前、温泉旅行に行ったんです」

行き先はF県Y市にある湊玄温泉。

東京から電車とバスを乗り継いで三時間ほどの場所にある山のふもとの温泉地だ。

「そこで怖い話を聞いたんです。怪談っていうんでしょうか。女が、異様に目の大きな女が、追いかけてくるという話なんですけど……」

シライサン

ある男が、道を歩いてた。

鬱蒼とした山道だ。

薄暗い道を歩いていくと、ちりん、と鈴の鳴る音が聞こえる。

男が振り返ると、後ろの方に、異様に目の大きな女がいた。

男は気味が悪くて、早足になる。

だけど、女はずっとついてくる。

「なんで追いかけてくるんだ」

男が聞くと、女は言った。

――おまえが、私のことを知っているからだ……。

「おまえは何なんだ!」

シライサンだ、と女は名乗った。

「シライサン?」

――ああ、そうさ。私を知ってるやつを追いかける。そして殺す。

男は怯えて叫んだ。

「もう来ないでくれ! あんたの名前を聞いたやつ、他にもいるだろ? そいつのとこに行ってくれよ!」

――私の名前を聞いたやつ……ああ、いるね。そこに。

女が『こちら』を振り返る。

 

次はおまえだ

 

「おしまい。これが湊玄温泉で私たちが聞いた話です」

話し終えると、詠子は緊張をほぐすように笑みを浮かべた。

「最後に聞き手を巻き込むタイプの話でしたね」

春男が言った。

それから数日後、富田詠子はこの世を去った。

眼球のない、異様な遺体だったという。

湊玄温泉へ

瑞紀と春男は湊玄温泉へ。

詠子たちに怪談を語って聞かせたという酒屋の渡辺秀明を訪ねると、彼もまた亡くなっていた。

生前に渡辺と親しかった同僚によると、渡辺は子どもの頃の日記を見て、最近『怪談』を思い出したらしい。

小学生の頃の渡辺少年に怪談を語って聞かせたのは、溝呂木玄という学者だったという。

旅館に戻ると、見知らぬ男に声をかけられた。

渡された名刺には『間宮幸太』という名前と、記者という肩書が印刷されている。

話を聞くと、間宮もまたこの《事件》を追っているということだった。

情報交換。

間宮は森川俊之という旅館で働く少年に取材していた。

渡辺が詠子たちに話していた怪談を、俊之もたまたま聞いていたのだという。

間宮は俊之の話を録音したレコーダーのスイッチを入れた。

「あいつ、目をそらしたら、近づいてくる。見ている間は、よってこない。だから僕は助かったんだ。しばらくしたらいなくなった。たぶん、一時間半か、二時間くらい……」

驚くべきことに、俊之は「シライサン」から逃げ延びていた。

『視線を合わせている間は近づいてこない』

シライサンへの有効な対処法。

間宮もまた怪談を聞いて呪われていたが、対処法さえあれば問題はない。

そうして高をくくっていられたのは、ほんの短い間だけだった。

結局、森川俊之もまた亡くなったのだから。

シライサン(2)

ちりん。

鈴の音が聞こえた瞬間、血の気が引いた。

俊之はその音の意味を理解している。

あの強烈な体験を忘れられるはずがない。

窓の外に視線を向けると、女が立っていた。

異様に大きな目が、俊之をじっと見ている。

悲鳴をこらえることができなかった。

俊之の部屋は2階にある。

ベランダもないので、窓の外に立てる場所などないはずだ。

しかし女は立っている。

視線をそらしてはいけない。

目をそらせば近づいてくる。

俊之はそう自分に言い聞かせたものの、半ばあきらめていた。

助かったとしても、それは一時的なものなのだ。

女は再び現れた。

きっと何度でも来るに違いない。

今後、一生、これが続くのだ。

気の休まる暇はない。

いつ、どんな場所にも、こいつは現れる。

常に怯えながら暮らし、精神をすり減らしながら、この《目》と対峙しなくてはならない。

絶望。

それならいっそ、楽になったほうがいいのではないか?

「俊之!? どうしたの!?」

母が階段を上ってくる気配があり、無意識に一瞬だけ、扉のほうを見てしまう。

ちりん。

視線を元に戻すと、女は部屋の中に立っていた。

たれ下がった黒髪の隙間から、生気のない青白い顔がのぞく。

女は和装で、合掌した両手の甲を貫通して赤い紐が通されている。

その先にぶら下がった鈴が、ゆらゆらと左右に揺れている。

……ふいに、懐かしい声が聞こえた。

「こっちにおいで、俊之」

それは亡くなった父親の声だった。

姿はない。

声はミニコンポのスピーカーから聞こえてくる。

「こっちにおいで、俊之」

視線がスピーカーに吸い寄せられる。

母が扉を開いたのと、俊之の眼球がはじけて細々とした肉片を散乱させたのは、ほとんど同時だった。

鈴の音をさせて女が近づいたことにも、その指先が触れたことにも俊之は気づかなかった。

回想・溝呂木玄

その昔、湊玄温泉の北の山地に1つだけ村があった。

名前は『目隠村』

祈祷師の一族を中心にした閉鎖的な村で、かつては朝廷から敵国を弱体化する儀式(呪い)を引き受けていたという。

今から数十年前、大学教授を勇退して湊玄温泉の近くに移り住んだ学者の溝呂木玄は、目隠村の特殊な在り方に興味を惹かれ、調査することにした。

目隠村では死者の手の甲に紐を通し、鈴をつけていたという。

亡くなった者が起き上がったとき、音でわかるように。

それはまるで死者が生き返ることを前提にしているかのような奇妙な風習だった。

溝呂木玄が調査を始めたとき、目隠村はすでに滅んでいた。

流行病で住民が全滅したため、と記録されている。

しかし、手を尽くして調べているうちに1人だけ生き残りがいることがわかった。

石森ミブという目隠村出身の老女が、地元の老人ホームに入っていた。

それは石森ミブがまだ成人したばかりの頃だったそうだ。

祈祷師一族の世話をする家系の人間だったミブは、命じられてとある娘の世話をしていた。

娘は祈祷師一族の中でも特に強い力を持つ巫女ながら、敵国を呪う儀式に失敗したことで土蔵の座敷牢に閉じ込められていた。

※時代としては太平洋戦争(1940年代前半)あたり

巫女は座敷牢の中で筆を執り、やがて1つの物語をつくりあげる。

異様に目の大きな女が追いかけてくる、という内容の怪談話だ。

巫女はミブに言った。

――この怪談を村中に広めてほしい。

巫女に同情的だったミブは頼みを受け入れ、村の人間に怪談を語って聞かせた。

なにせ娯楽のない閉鎖的な村だ。

刺激的な怪談話はおもしろがられ、あっという間に広まっていった。

……つづく

目隠村へ

詠子たちに怪談を聞かせた渡辺も、一度はシライサンから逃げ切った俊之も死んだ。

残る手がかりは少年時代の渡辺に怪談を聞かせたという人物・溝呂木玄のみ。

瑞紀たちは溝呂木玄が著した本に書かれた『目隠村』の記述に目を留めた。

《呪い》

《手の甲を貫通する紐》

《鈴》

とてもじゃないが、シライサンと無関係とは思えない。

瑞紀、春男、間宮の3人は廃村となった目隠村の跡地に行ってみることにした。

間宮の車で山の奥深くまで進んでいく。

村までの道は閉ざされて久しく、もうほとんど道の体をなしていない。

案の定、やがて道は倒木によって途切れてしまった。

車を乗り捨てて歩いていけばたどり着けるかもしれないが、そのための用意をしていないし、もう日も沈もうとしている。

結局、その日は大人しく引き返すことにした。

運転する間宮の視界の端に、人影がよぎった。

小さい。子どもだろうか。

人影が顔を上げた瞬間、心臓がドクンと大きく脈打った。

――あれは真央だ。交通事故で亡くした娘の真央だ!

ありえない光景に目を奪われたのが原因だった。

「間宮さん!」

春男が叫ぶが、もう遅い。

カーブに突っ込んだ車体は、そのまま急斜面を転がり落ちていった。

シライサン(3)

車が止まったとき、意識を保っていたのは瑞紀だけだった。

「……鈴木さん、間宮さん」

名前を呼んでも返事はない。

どうやら気絶しているようだ。

携帯電話の画面には圏外の文字が表示されている。

助けを呼ぶには、ひとまず道に戻らなければ……。

「すぐ、戻ってきます」

瑞紀は気絶している2人に声をかけると、斜面を登り始めた。

ちりん、と鈴の音が聞こえた。

いつのまにかあたりは白色の靄(もや)で覆われている。

視界が悪い。

目を凝らすと、ようやく人影が判別できるほどの距離に誰かが立っていた。

長い髪の輪郭から、どうやら女だとわかる。

彼女だ。

足がガクガクと震え、いまにも力が抜けそうになる。

女はじっと立ってこちらを見ていた。

靄のせいで顔はわからず、シルエットだけが浮かんでいるような状態だが、見られているという視線の圧があった。

瑞紀は俊之の言葉を思い出し、女から目を離さずに後ずさりをする。

 

――ねえ、こっちを向いて、瑞紀

 

不意に名前を呼ばれ、瑞紀は足を止めた。

聞き覚えのある声だ。

前方の女が発したのではない。

瑞紀の後方、首の後ろあたりから聞こえてきた。

思わず後方に視線を向けると、見覚えのある服が視界の端に入った。

あの日、香奈が着ていた服だった。

 

ちりん

 

後ろに立つ香奈と向き合うより先に、鈴の音が瑞紀の視線を前に戻させた。

女が接近していた。

先ほどの距離の半分ほどまで近づいており、瑞紀が視線を向けると同時に立ち止まる。

長い髪や、手から下がっている赤い紐が揺れていた。

 

――瑞紀、友だちでしょう……?

 

耳をふさいでも、背後から香奈の声が聞こえてくる。

しかし、決して振り返ることはできない。

前方の女の顔に垂れ下がっている黒い髪の隙間から目がのぞいていた。

人間として違和感の生じる大きさの目は、顔のすべてが目なのではないかと錯覚するほどだ。

女を見ていると、寿命が削られていくような気がする。

見る、見られるという関係性を結んでいるだけで、こちらの存在が少しずつ蝕まれていくかのようだ。

 

――私の手を、ふりほどいた……。

 

死の直前、救いを求めるように伸ばした香奈の手を、瑞紀は振り払ってしまった。

今でも瑞紀はそのことを後悔している。

 

――友達のくせに、私の手を払ったよな……。

 

「やめて、香奈」

足から力が抜けて、その場に座り込んでしまう。

瑞紀は諦めて、両手で顔を覆った。

鈴の音がする。

女が自分のところに近づいてくるのがわかった。

もう間もなく自分は死ぬのだろう。

次の瞬間には女につかまって心臓が止まり、目も破裂するのだろう。

両手がつくる暗闇の中で瑞紀はその瞬間を持つ。

不意に肩をつかまれた。

自分は死んだと思った。

 

「瑞紀さん!」

 

顔を上げると、頭から血を流している鈴木春男が瑞紀のすぐそばに膝をついていた。

「す、鈴木さん……!?」

声が震えて、まともに話せない。

肩に置かれた手の感触と温かさに安堵する。

彼の視線は前方の異様に目の大きな女へと向けられていた。

「見えますか、あれが」

「はい」

瑞紀の問いに、春男は緊張した顔で頷いた。

背後に立っていた香奈はどこへ行ってしまったのだろう。

春男の様子から、先ほどまで自分の背後にいたはずの香奈は、すでに消えてしまっているらしいとわかった。

「立てますか。あいつから距離をとりましょう」

春男に支えられながら瑞紀は立ち上がる。

女から視線をそらさないように注意深く、2人で後ずさりを開始した。

結末

瑞紀たちはシライサンから生き延びた。

これまでの出現ペースから察するに、シライサンは3日に1度、怪談を知る者の前に現れている。

  • 渡辺秀明(1月21日)
  • 加藤香奈(1月24日)
  • 鈴木和人(1月27日)
  • 森川俊之(1月30日)※生還
  • 富田詠子(2月2日)
  • 森川俊之(2月5日)
  • 山村瑞紀・鈴木春男(2月8日)※生還

しかし、2月11日は何事もなく過ぎていった。

後に、瑞紀たちはシライサンが現れなかった理由を知る。

シライサンの怪談がネットやSNSと通じて全国に広がっていたのだ。

出どころは間宮の妻である冬美。

間宮が口止めする前に、冬美は第三者に怪談のことを話していた。

怪談がネットに出回ったことで、《呪い》の対象は爆発的に増加。

全国で相次ぐ不審死のニュースはワイドショーでも取り上げられるようになり、怪談はさらに多くの人の目に触れるようになった。

2月11日、シライサンは現れなかったのではない。

瑞紀たちの知らない、ネットで怪談を見た『誰か』の命を刈りとっていたのだ。

呪われた人間の母数が増えれば増えるほど、瑞紀たちの前にシライサンが現れる確率は低くなっていく。

とはいえ、確率はゼロにはならないし、犠牲者がいたずらに増え続けるのも望むところではない。

東京に戻った瑞紀と春男は、あの手この手を使って人々がシライサンの怪談から興味を失うように裏工作した。

実際、効果はあったのだろう。

……しかし、一度ネットの海に流れ込んだ情報を完全に消すことなどできない。

怪談は今もネットの海をさまよい、新たな犠牲者候補を増やし続けている。

回想・溝呂木玄(2)

~石森ミブの話の続き~

「それからほどなくして、あの方は、私にだけ教えてくださいました」

――もうすぐ目隠村は終わるよ。あなただけふもとの村へ逃げなさい。

「終わるとは、どういう意味なのかを、私は聞いたんです」

 

――山の神様に頼んだ。たくさんの、お供え物をする代わりに、子どもを返してくれるようにって。

 

それから間もなくして、巫女は座敷牢の中で息を引き取った。

村を流行病が襲ったのは、その直後のことだ。

目隠村の住人はひとり、またひとりと眼球を破裂させ、数を減らしていった。

(彼女は自分の命を使って、村に呪いをかけたのかもしれない)

ミブは何も待たず、誰にも言わずに村から逃げ出した。

目隠村が廃村になるまで、そう日数はかからなかった。

 

「私はそれから温泉旅館で住み込みで働かせてもらいました。そこで不思議なことがおきたんです」

ある日、ミブが布団で眠っていると、枕元に巫女が立っていたという。

「あの方は赤ん坊を抱いていたんです。死産したはずの子だと、すぐに気づきました」

巫女はミブの枕元に赤ん坊を寝かせた。

まだへその緒がついている状態だったという。

 

――村人をお供えした。代わりに、この子を返してもらった。

 

巫女はそう言って赤ん坊を愛しげに見ていた。

ミブがハッと目を覚ますと、枕元で赤ん坊が泣いていた。

赤ん坊は生後間もない状態で、切れたばかりのへその緒からはまだ血が流れていた。

まるで何もないところから忽然と現れたかのようなその赤ん坊を、ミブは我が子として育てることを決意する。

赤ん坊はすくすくと成長し、やがて教師の男性と結婚した。

すでに孫までいるという。

回想・溝呂木玄(3)

その日、石森ミブの車椅子を押しているのは施設職員ではなく、三十代半ばくらいの美しい女性だった。

石森ミブは彼女のことを孫だと紹介する。

「いつも祖母がお世話になっています」

女性は深々とお辞儀をした。

その日の取材を終えて老人ホームを出ようとしたとき、後ろから溝呂木は呼び止められた。

石森ミブの孫娘が、鞄から紫色の包みを取り出しながら駆け寄ってくる。

「溝呂木先生。祖母が、これを渡してほしいと」

包みの中には黄ばんだ古い半紙が折りたたまれて入っていた。

走り書きしたような毛筆の書体で文字が綴られている。

溝呂木はその半紙に心当たりがあった。

座敷牢の巫女が怪談を綴ったものではないだろうか。

まさか、現存しているとは思わなかった。

「これは助かります。大変、貴重な記録です」

「いいえ、こちらこそ。大変でしょう。祖母の作り話につきあうのは」

「作り話というのは?」

「私の母のことですよ。戦後、祖母が湊玄温泉に引っ越してきた頃、すでに母がお腹にいたみたいですよ」

「ああ、そうなんですか」

溝呂木は苦笑した。作り話だったのか。

言われてみれば、石森ミブとこの孫娘は顔立ちが似ている。

血のつながりがあることは確かだ。

枕元に置かれていた赤ん坊を育てたのだとしたら、ここまでは似ていないだろう。

「では、これも捏造なんでしょうか」

孫娘が持ってきてくれた古い半紙を眺める。

「何が書いてあるんでしょうか。私には読めませんが、それ、祖母の字ですよ

溝呂木は混乱した。

これを書いたのは座敷牢の巫女だったはずだ。

しかし、孫娘によれば、この毛筆の字は石森ミブ本人の書いた字だという。

わけがわからない。

溝呂木はともかく、彼女にお礼を言って老人ホームを後にした。

家に帰るとすぐに、孫娘から渡された紙を広げた。

毛筆で綴られている内容は、石森ミブから聞いたものと同じである。

ただ、一か所だけ、気になる点があった。

鈴の音を響かせながら現れる女の名前だ。

死来山

と書いてある。

シライサン、と読めばいいのだろうか。

聞き覚えのない名称だ。

おそらく目隠村の住人が山の神に対する畏敬とともに呼びならわしてきた名前なのだろう。

これを書いたのは座敷牢の巫女だろうか。

それとも石森ミブなのだろうか。

もしかすると座敷牢の巫女など存在せず、何もかも石森ミブの想像の世界の出来事だったのではないか。

例の赤ん坊はやはり石森ミブ自身の子どもだったと考えれば、孫娘と顔が似ている理由にもなる。

……あるいは、石森ミブという女性の方が存在せず、老人ホームにいた女性こそが座敷牢の巫女だったとしたら?

巫女は土蔵の中で死んでおらず、何とか抜け出し、ふもとまで逃げ延びていた。

巫女は石森ミブと名乗り、旅館で住み込みで働きながら、今日まで生き延びてきた。

祈祷師一族の末裔であることを隠しながら、一般人として暮らすことにしたのだ。

もちろん、そのようなこと、あるわけがない。

溝呂木は自分の想像を一笑した。

湯気の立ちこめる温泉地の風景を眺めながら、溝呂木はふと思った。

どうして湊玄温泉と名付けられたのだろう?

『湊』という字には船着き場という意味がある。

しかし、この地域には船着き場はあるような水辺など見当たらない。

シライサン(終)

それは船着き場だった。

いつのまに迷い込んでしまったのだろう、と間宮幸太はいぶかる。

さっきまで目隠村の跡地を調べていたはずなのに、目の前には広大な水辺が広がっている。

目隠村の周辺に水辺なんてなかったはずなのに……。

岸に船着き場があり、木製の舟が停泊していた。

十数人の人影が舟の上にある。

全員、力なくうつむいたような状態でじっとしている。

その顔に眼球はない。

眼窩は暗い洞窟のような状態となり、血を垂れ流しにさせている。

ふと、間宮は彼らの中に見覚えのある姿があることに気づく。

森川俊之。

加藤香奈。

鈴木和人。

富田詠子。

呪いによる死者が集められている。

彼らは舟に乗せられてどこへ向かうのだろう。

霧の中に巨大な『山』のシルエットが浮かび上がっている。

間宮は震えそうになる手でカメラを構え、シャッターを切った。

直後、ちりん、とすぐそばで鈴の音がする。

気づくと、舟の上の使者たちが全員、間宮のほうに顔を向けていた。

それぞれの顔に穿たれた肉の洞窟が、いくつも並んでいる。

撮影に夢中で気づかなかったが、異様に目の大きな女が、間宮の背後に立っていた。

ちりん、と鈴が鳴る。

女が触れると間宮の心臓は停止した。

眼球の内部で圧力が膨れあがり、水晶体はひび割れ、細かな肉の破片となったものが飛び散る。

しかしすでに死んでいたので、間宮が自分の遺体の状況を気にすることはなかった。

<完>

ぱんだ
ぱんだ
え、終わり!?

「なんだか微妙だなぁ……」と判断するのはまだ早い!

実は映画『シライサン』にはちゃんと考察しないとわからない《真相》が用意されています。

実は今回、あらすじから1つ、わざと超重要な伏線を抜きました。

『石森ミブの孫娘=間宮冬美』

この情報をプラスすることで、物語の裏側はとんでもないことになるんです。

詳しくは考察記事にまとめましたので、こちらも是非チェックしてみてください!

映画『シライサン』ネタバレ考察!女の正体は?怖すぎる裏設定とは?映画『シライサン』はある意味、中途半端な形で幕を閉じます。瑞紀と春男はどうなったの? シライサンの正体は? 目隠...
ぱんだ
ぱんだ
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まとめと感想

今回は映画『シライサン』のあらすじネタバレをお届けしました!

では、最後にまとめです!

3行まとめ
  • 瑞紀と春男は生存
  • シライサンは退治されないし、身を守る絶対的な方法もない
  • 実はただ観るだけじゃわからない怖すぎる『裏』のストーリーがある

ちょっとだけ感想をお伝えすると、マジでめちゃくちゃ怖いです!

映画鑑賞中というより、本番はその日の夜ですね。

シライサンは怪談を知っている人間の前に現れるわけですから、「あれ? わたしもアウトなんじゃ?」という不安がどうしてもつきまといます。

「フィクションだから!」と思おうとすればするほど、どんどん不安は大きくなっていって……。

しかも、作中でシライサンが退治されないし、対抗策もあんまりないというのがまた絶望的。

本当にひとりで見に行くのだけはお勧めしません。

※一応、呪われた人同士一か所に集まって、どちらか片方さえ視線をあわせていればOKらしいです。あくまで一時しのぎですけど……。

ぱんだ
ぱんだ
ほんと怖いよ……

 

映画『シライサン』の配信は?

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